妊娠後期「象の足」むくみはなぜ起こる?つらい症状の対策と予防法を徹底解説!

妊娠後期に入り、お腹の赤ちゃんに会える喜びで胸がいっぱいになる一方で、「象の足」と表現されるほどのむくみに悩まされていませんか?
「足がパンパンで靴が履けない」「だるくて動くのがつらい」といったお悩みは、多くの妊婦さんが経験するものです。
実際、厚生労働省の調査によると、妊娠中の女性の約30〜50%がむくみを経験するとされています。
特に妊娠後期は、出産に向けて体の変化が著しくなるため、むくみも顕著になりやすい時期です。
この記事では、妊娠後期の「象の足」むくみの原因から、今日からできる効果的な対策、さらには予防法まで、詳しく解説します。
つらいむくみから解放され、快適なマタニティライフを送るためのヒントを見つけていきましょう。
1.妊娠後期に「象の足」のようなむくみが生じる3つの主な原因
妊娠後期に足が「象の足」のようにパンパンにむくんでしまうのは、主に以下の3つの要因が複雑に絡み合って起こります。
1-1. 体液量の増加と水分バランスの変化
妊娠中、お母さんの体は赤ちゃんを育むために、体内の血液量や体液量が大幅に増加します。
これは、胎児と胎盤に十分な栄養と酸素を供給するための大切な生理現象です。
血液量の増加
: 妊娠後期には、非妊娠時の約1.5倍もの血液量になると言われています。
体液の貯留
: 増加した体液は、血管から周囲の組織へ漏れ出しやすくなります。特に、重力の影響で足や足首などの下半身に水分がたまりやすくなるため、「象の足」のようにむくんでしまうのです。
1-2. 拡大した子宮による血管の圧迫
妊娠が進むにつれて、お腹の中で赤ちゃんが大きく成長し、それに伴い子宮もどんどん大きくなります。
この拡大した子宮が、骨盤内の大きな静脈(特に下大静脈)を圧迫することで、足からの血液が心臓へ戻りにくくなります。
血流の滞り
: 静脈が圧迫されると、足の血液がうっ滞し、血管内の圧力が高まります。
むくみの悪化
: その結果、血管から水分がさらに組織に漏れ出しやすくなり、妊娠後期のむくみを悪化させる要因となります。特に、長時間立ちっぱなしでいたり、座りっぱなしでいたりすると、この影響が顕著になりやすいです。
1-3. ホルモンバランスの変化と体液保持の促進
妊娠中は、プロゲステロンやエストロゲンといった女性ホルモンの分泌が急増します。
これらのホルモンは、妊娠を維持するために非常に重要な役割を果たす一方で、体内の水分を保持する作用もあります。
プロゲステロンの影響
: プロゲステロンには、血管透過性を高める作用があるため、水分が血管から組織に漏れ出しやすくなります。
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化
: これらのホルモン変化が、体内の水分と電解質のバランスを調整する「レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系」というシステムを活性化させ、結果的に体内の水分貯留を促進し、妊娠後期にむくみやすい体質になります。
これらの要因が複合的に作用することで、妊娠後期の「象の足」のようなむくみが発生しやすくなるのです。
原因を理解することで、適切な対策を講じることができます。
2.妊娠後期「象の足」むくみを和らげる効果的な対策5選
つらい妊娠後期のむくみは、日々の生活習慣を少し見直すだけでも大きく改善する可能性があります。ここでは、今日から実践できる効果的な対策を5つご紹介します。
2-1. バランスの取れた食事でカリウムを積極的に摂取する
塩分の摂りすぎは、体内の水分をため込みやすくし、むくみを悪化させます。
塩分(ナトリウム)の排出を促す働きがあるカリウムを意識的に摂取することで、むくみの軽減が期待できます。
カリウム豊富な食材:
豆類: 大豆、枝豆、レンズ豆など
野菜: カボチャ、ほうれん草、アボカド、トマトなど
海藻類: ひじき、昆布、わかめなど
果物: バナナ、キウイ、メロン、アボカドなど
摂取のポイント:
1.加工食品や外食は塩分が多くなりがちなので注意しましょう。
2.薄味を心がけ、出汁や香辛料を上手に活用するのもおすすめです。
3.生野菜や果物から摂るカリウムは、調理による損失が少ないため効果的です。
ただし、腎機能に問題がある場合はカリウムの摂取量に注意が必要です。
心配な場合はかかりつけ医に相談しましょう。
2-2. 十分な睡眠でホルモンバランスを整える
睡眠は、体の回復とホルモンバランスの調整に不可欠です。
睡眠不足は、ストレスホルモンの分泌を増やし、体内の水分バランスを乱す原因となり、むくみを引き起こしやすくなります。
効果的な睡眠の姿勢:
・お腹が大きくなると仰向けで寝るのが苦しくなることがあります。そのような場合は、抱き枕などを活用し、左側を下にして横向きで寝るのがおすすめです。
・右側には心臓へ向かう大きな静脈(下大静脈)が通っているため、右を下にして寝ると子宮が静脈を圧迫し、血行不良につながりむくみを悪化させる可能性があります。左側を下にして寝ることで、下大静脈への圧迫が軽減され、血流がスムーズになります。
睡眠環境の整備:
快適な寝室環境(室温、湿度、照明)を整え、リラックスできる状態で眠りにつくよう心がけましょう。
2-3. 適度な運動で血行促進と水分排出を促す
「むくんでいるから動きたくない」と感じるかもしれませんが、実は適度な運動はむくみ対策に非常に効果的です。
体を動かすことで、筋肉ポンプ作用が働き、血液やリンパ液の流れが促進され、余分な水分が排出されやすくなります。
おすすめの運動:
1.ウォーキング: 1日15〜30分程度の軽いウォーキングは、全身の血行を良くし、むくみ解消に役立ちます。無理のない範囲で、平坦な道を選びましょう。
2.マタニティヨガ・ストレッチ: 専門のインストラクター指導のもとで行うマタニティヨガや、自宅でできる簡単なストレッチもおすすめです。関節の可動域を広げ、筋肉をほぐすことで血行が促進されます。
3.水中ウォーキング: 浮力があるため、お腹が大きくても体への負担が少なく、全身運動ができます。
運動時の注意点:
・体調が悪い時や、お腹の張りを感じた場合はすぐに運動を中止し、安静にしましょう。
・妊娠中は無理のない範囲で、短時間から始めることが大切です。かかりつけ医に相談し、自分に合った運動量を確認しましょう。
2-4. 足を高く上げて血流を改善する
重力によって下半身に溜まりやすい水分を心臓へ戻しやすくするために、足を心臓よりも高い位置に上げて休むのは、むくみ対策の基本です。
実践方法:
・横になる際は、足の下にクッションや座布団を重ねて置き、足を心臓より高い位置に保ちましょう。
・デスクワークなどで座りっぱなしになる場合は、足元に台を置いて足を上げるだけでも効果があります。
・休憩時間や就寝前など、できるだけ足を上げる時間を意識的に増やしましょう。
効果: 血行が促進され、下半身に滞留していた水分が効率よく心臓に戻るため、むくみの軽減につながります。
2-5. 適切な水分摂取でデトックス効果を高める

「むくんでいるから水分を控える」というのは間違いです。
むしろ、適切な水分摂取は、体内の老廃物や余分な塩分を排出し、むくみを和らげるために非常に重要です。
水分不足は、体が水分をため込もうとするため、かえってむくみを悪化させる可能性があります。
水分摂取の目安
: 1日あたり1.5リットル〜2リットルを目安に、こまめに水分を摂りましょう。一度に大量に飲むよりも、少量ずつ頻繁に飲む方が体に吸収されやすいです。
むくみ軽減をサポートするドリンク:
・ハーブティー: レモングラス、ジンジャー、ダンデライオン(タンポポ)などのハーブティーは、利尿作用や血行促進作用が期待でき、むくみ緩和に役立つと言われています。
・ココナッツウォーター: 天然の電解質(カリウムなど)が豊富に含まれており、体内の水分バランスを整えるのに役立ちます。
・シトラスフルーツジュース: オレンジやグレープフルーツなどの柑橘系の果物には、血管の健康をサポートするビタミンCが豊富に含まれており、むくみ軽減効果が期待できます。ただし、糖分も含まれるため、摂りすぎには注意しましょう。
3.妊娠後期のむくみを放置するとどうなる?注意すべきサイン

ほとんどの妊娠後期のむくみは生理的なものですが、中には注意が必要なケースもあります。
むくみを放置することで、以下のような問題が起こる可能性があります。
日常生活への支障
: 足のむくみがひどくなると、靴が履けなくなったり、歩行が困難になったり、だるさで動くのがつらくなったりと、日常生活に大きな支障をきたします。
妊娠高血圧症候群のサインの可能性
: むくみが急激に悪化したり、顔や手のむくみが顕著になったり、頭痛や目のちらつき、尿量の減少といった症状を伴う場合は、「妊娠高血圧症候群」の可能性があります。これは、妊娠後期に起こる可能性のある合併症で、お母さんと赤ちゃんの両方に影響を及ぼすことがあります。
以下のような症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
むくみが突然ひどくなった、または全身に広がる
顔や手のむくみが顕著で、指輪がきつくなった
むくんだ部分を押しても、なかなかへこまない
急激な体重増加がある
頭痛、吐き気、目のちらつき、めまい、上腹部痛、尿量の減少などの症状を伴う
これらの症状は、妊娠高血圧症候群やその他の合併症のサインである可能性があり、早期の診断と治療が必要です。自己判断せず、必ずかかりつけ医に相談するようにしてください。
4.妊娠後期の「象の足」むくみに関するよくある質問

Q1: 妊娠後期のむくみは、いつ頃から始まり、いつまで続くのでしょうか?
A1: 妊娠中のむくみは、個人差がありますが、一般的に妊娠中期から始まり、妊娠後期(妊娠28週以降)に特に顕著になることが多いです。出産後、体内の余分な水分が排出されることで、数日から数週間かけて徐々にむくみは引いていきます。
Q2: 市販の着圧ソックスやマッサージは効果がありますか?
A2: はい、適切な着圧ソックスの着用やマッサージは、むくみ対策に有効です。
着圧ソックス
: 足首からふくらはぎにかけて段階的に圧力をかけることで、血流やリンパの流れを促進し、むくみを軽減します。ただし、サイズが合っていないものや、締め付けが強すぎるものはかえって血行を妨げる可能性があるので、必ずマタニティ用として販売されているものや、医師に相談して適切なものを選びましょう。
マッサージ
: 足の指先から心臓に向かって優しくマッサージすることで、滞った血液やリンパ液の流れを促します。アロマオイルなどを使用すると、リラックス効果も高まります。ただし、強く押しすぎたり、痛みを伴うマッサージは避けましょう。
Q3: 妊娠後期にむくみを予防するために、他にできることはありますか?
A3: 上記の対策に加えて、以下のことも予防に役立ちます。
長時間の立ちっぱなし・座りっぱなしを避ける
: こまめに休憩を取り、軽く体を動かしましょう。
体を締め付ける服装を避ける
: 締め付けの強い下着や衣類は、血行を妨げ、むくみを悪化させる可能性があります。ゆったりとした服装を選びましょう。
冷え対策
: 体が冷えると血行が悪くなり、むくみやすくなります。足元を温める、温かい飲み物を飲むなど、体を冷やさないように心がけましょう。
ストレスをためない
: ストレスは自律神経の乱れにつながり、ホルモンバランスや血流に影響を与える可能性があります。リラックスできる時間を意識的に作りましょう。
5.まとめ:妊娠後期のむくみと上手に付き合い、快適なマタニティライフを
妊娠後期の「象の足」のようなむくみは、多くの妊婦さんが経験する生理的な変化です。
体液量の増加、子宮による血管の圧迫、ホルモンバランスの変化など、様々な要因が絡み合って生じます。
しかし、今回ご紹介したような食事の見直し、十分な睡眠、適度な運動、足を高くする工夫、適切な水分摂取といった対策を実践することで、つらいむくみを効果的に和らげることができます。
ただし、むくみが急激に悪化したり、頭痛や目のちらつきなどの症状を伴う場合は、妊娠高血圧症候群のサインである可能性もあります。
自己判断せずに、必ずかかりつけ医に相談し、適切な診断とアドバイスを受けるようにしてください。
妊娠期間中の快適な毎日を過ごすために、ご自身の体の変化に耳を傾け、適切なケアを心がけましょう。
そして、この特別な時間を、できるだけ穏やかに、そして幸せに過ごせるよう、ご自身を大切にしてくださいね。
この記事を書いた人
高橋 あい

わくわくボディクリニック 代表 / 結果にこだわるサプリメント開発者
2010年、女性の美容と健康に特化したサロン「わくわくボディクリニック」を創業。
自身の摂食障害によるマイナス22kgの体験をきっかけに、栄養学と腸内環境の重要性に着目した元祖麹菌サプリメント「ノーカウント」を開発。
「ノーカウント」は、ダイエット、美肌、腸活をサポートするサプリメントとして、全国250以上のエステサロン・治療院などで導入されるロングセラー商品へと成長。
美容・健康業界のプロフェッショナルからも高い評価を得ている。
また、2020年には神奈川県の未病スタイルアンバサダーに就任し、食生活改善セミナーや健康イベントなどを開催し、地域住民の健康増進に貢献。
現在も最前線で施術を行いながら、科学的根拠に基づくサプリメントの研究・開発・販売を継続。
美容・健康分野における革新的なアプローチを追求し続けている

