妊娠中期に頭痛がひどい…つらい症状の徹底解説と対処法

妊娠中期に入り、つわりが落ち着いてホッと一息ついたのも束の間、「なんだか頭痛がひどくてつらい…」と感じている妊婦さんは少なくありません。
安定期と呼ばれるこの時期に、なぜ頭痛が頻発するのでしょうか?
そして、そのつらい症状を和らげるためには、どのような対処法があるのでしょうか?
この記事では、妊娠中期に頭痛がひどくなる原因から、効果的なセルフケア、そして医療機関を受診する目安まで、妊娠中期の頭痛がひどいとお悩みのあなたに役立つ情報を提供します。
1.妊娠中期に頭痛が頻発する理由とは?
妊娠中期(妊娠5~7ヶ月頃)は、胎児の成長が著しく、母体の変化も多岐にわたる時期です。
この時期に頭痛がひどくなる背景には、いくつかの要因が複合的に絡み合っていると考えられます。
1-1.ホルモンバランスの急激な変化
妊娠中の体内で最も大きく変化するのは、女性ホルモンのバランスです。
特に、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンが急激に変動します。
これらのホルモンは、血管の収縮や拡張に大きな影響を与えることが知られています。
エストロゲン:
妊娠初期には急増し、中期にかけて緩やかに安定しますが、その過程で血管の感受性が変化し、頭痛を引き起こすことがあります。
プロゲステロン:
妊娠維持に不可欠なホルモンですが、血管拡張作用があるため、血管の拡張が周囲の神経を刺激し、ズキズキとした頭痛(片頭痛様の症状)を誘発する可能性があります。
1-2.血液量の増加と循環の変化

妊娠が進むにつれて、母体は胎児への栄養供給を確保するため、血液量を大幅に増加させます。
通常、妊娠中は非妊娠時と比較して血液量が30%〜50%も増加すると言われています。
この血液量の増加は、心臓や血管にかかる負担を増大させ、血圧の変動を引き起こしやすくなります。
血圧の変動:
妊娠中は血圧が一時的に低下したり、逆に上昇したりすることがあります。特に低血圧は、脳への血流が一時的に不足することで頭痛を引き起こす可能性があります。
血管の拡張・収縮:
増加した血液量を効率よく全身に送るため、血管が拡張する傾向にあります。この拡張が脳内の血管にも影響し、頭痛の原因となることがあります。
1-3.むくみ(浮腫)の発生
妊娠中は、増加する血液量や子宮が下肢の血管を圧迫することなどにより、体内の水分量が増加し、浮腫(むくみ)が発生しやすくなります。
足や顔のむくみはよく知られていますが、頭部や顔面にもむくみが生じることがあり、これが頭痛の原因となるケースも考えられます。
特に、顔や頭皮のむくみが神経を圧迫することで、締め付けられるような頭痛(緊張型頭痛様の症状)を感じることがあります。
1-4.低血糖
妊娠中は、胎児への栄養供給のために母体の血糖値が変動しやすくなります。
食事の間隔が空きすぎたり、つわりで食事が十分に摂れなかったりすると、血糖値が急激に低下し、これが頭痛を引き起こすことがあります。
低血糖による頭痛は、めまいや倦怠感を伴うこともあり、特に注意が必要です。
規則正しい食生活を心がけ、間食を上手に取り入れることが大切です。
2.妊娠中期に多い2種類の頭痛とその特徴

妊娠中期に起こる頭痛には、大きく分けて2つのタイプがあります。
それぞれの特徴を理解することで、適切な対処法を見つける手助けになります。
2-1. 片頭痛
特徴:
目の周りやこめかみがズキズキと脈打つように痛み、多くは頭の片側に症状が現れます。数時間から3日間ほど続くこともあります。
付随症状:
吐き気や嘔吐、光や音に過敏になる(光過敏・音過敏)といった症状を伴うことがあります。
対処法:
安静にする: 暗く静かな部屋で横になり、安静に過ごすことが推奨されます。
冷やす: 痛む部分を冷たいタオルなどで冷やすと、血管の収縮を促し痛みが和らぐことがあります。
カフェインの摂取: 少量のカフェイン(コーヒー、紅茶、緑茶など)は、血管を収縮させる作用があるため、頭痛の初期症状に有効な場合があります。ただし、過剰摂取は避けるべきです(1日2杯程度を目安に)。
2-2. 緊張型頭痛
特徴:
首筋や後頭部に痛みが出ることが多く、頭全体がギューッと締め付けられるように感じます。痛みは30分程度の短時間で終わることもあれば、数日間続くこともあります。
付随症状:
肩こりや首のこりを伴うことが多く、目の疲れを感じることもあります。
対処法:
温める: 首や肩を温めると、筋肉の緊張がほぐれ、血行が促進され痛みが和らぎます。蒸しタオルやお風呂での入浴が効果的です。
マッサージ: 首や肩、頭を優しくマッサージすることで、筋肉の緊張を緩和できます。
軽い運動・ストレッチ: 日頃から軽いストレッチやウォーキングなどを行うことで、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。
姿勢の改善: 長時間同じ姿勢でいることを避け、正しい姿勢を意識することで、首や肩への負担を軽減できます。
3.統計データでみる妊娠時期別の頭痛の傾向

頭痛の種類や頻度は、妊娠の時期によって変化する傾向があります。
妊娠初期(妊娠1〜4ヶ月):
片頭痛が多い傾向: 妊娠初期に起こる頭痛は、ホルモンバランスの急激な変化(特にエストロゲンやプロゲステロンの増加)が大きく関与しており、片頭痛の症状が現れやすいとされています。
つわりとの関連: 吐き気と同様に、頭痛がつわりの一種として現れることもあります。
改善の傾向: 多くの妊婦さんの場合、妊娠5ヶ月頃(妊娠16〜19週前後)までには、ホルモンバランスが安定し、頭痛も次第に落ち着いてくることが多いと報告されています。
妊娠中期(妊娠5〜7ヶ月):
緊張型頭痛が増加する傾向: 妊娠中期になると、お腹の大きさが増し、姿勢の変化や体重増加による肩こり、首のこりなど、身体的な負担が増えます。これにより、締め付けられるような緊張型頭痛の頻度が増える傾向が見られます。
片頭痛の軽減: 妊娠前から片頭痛を持っていた女性の場合、妊娠中期から後期にかけて、約80%の確率で片頭痛発作が軽減したという報告もあります。これは、妊娠によってホルモンバランスが安定し、片頭痛を引き起こす要因が減少するためと考えられています。特に、前兆のない片頭痛の人のほうが発作が減りやすい傾向があります。
妊娠後期(妊娠8ヶ月〜出産):
引き続き緊張型頭痛: 妊娠後期も引き続き、お腹の大きさによる体の負担や、睡眠不足、ストレスなどから緊張型頭痛が起こりやすいです。
注意が必要な頭痛: 妊娠後期に突然の激しい頭痛や、これまでに経験したことのない頭痛、視覚異常や血圧上昇を伴う頭痛がある場合は、妊娠高血圧症候群などの重篤な状態の可能性があるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。
4.妊娠中の頭痛、薬を飲んでも大丈夫?
頭痛がひどい状態が続くと、市販薬に頼りたくなる気持ちもよく分かります。
しかし、妊娠中の薬の服用は胎児への影響を考慮する必要があるため、慎重になるべきです。
4-1.比較的安全性の高い鎮痛剤
妊娠中に比較的安全性が高いとされている鎮痛剤は、アセトアミノフェンを主成分とするものです。
これは、一般的に解熱鎮痛剤として広く用いられており、医師の指導のもと、短期間の使用であれば安全性は高いとされています。
4-2.注意が必要な鎮痛剤
以下の成分を含む鎮痛剤は、妊娠中の使用に注意が必要です。
イブプロフェン、ナプロキセン、アスピリン(NSAIDs:非ステロイド性抗炎症薬):
これらは胎児の血液循環に影響を与える可能性や、妊娠後期に胎児の動脈管早期閉鎖のリスクを高める可能性があります。自己判断での服用は避け、必ず医師の判断に基づいて使用してください。
重要な注意点: 妊娠中に薬を服用する際は、頭痛に限らず、いかなる場合でも必ずかかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談し、処方されたもの、または指示されたものを使用するようにしましょう。市販薬を購入する際も、必ず薬剤師に妊娠中であることを伝え、相談するようにしてください。
5.妊娠中期に頭痛がひどい時のセルフケアと予防策

症状を和らげ、予防するためには、日常生活の中での工夫が非常に大切です。
5-1. 十分な休息と睡眠
睡眠:
妊娠中は体が疲れやすいため、十分な睡眠時間を確保することが重要です。夜間の睡眠だけでなく、昼寝を上手に取り入れるのも効果的です。
休息:
無理のない範囲で適度な休息を取り、体を休ませましょう。
5-2. バランスの取れた食事と水分補給
規則正しい食事:
血糖値の急激な変動を防ぐため、1日3食、規則正しくバランスの取れた食事を心がけましょう。間食を挟むことも有効です。
水分補給:
脱水は頭痛の原因となることがあります。こまめに水分を補給し、体を潤しましょう。特に夏場や乾燥しやすい時期は意識的に摂取してください。
5-3. 適度な運動とリフレッシュ

マタニティスイミング・マタニティヨガ: 安定期に入り、医師から許可が出ているのであれば、マタニティスイミングやマタニティヨガは頭痛の改善に非常に効果的です。
マタニティスイミング:
浮力によって体が軽くなり、お腹が大きくても動きやすくなります。水圧による血行促進効果で、むくみ解消にも繋がり、緊張型頭痛の緩和にも役立ちます。また、プレママ友達との交流は精神的なリフレッシュにもなります。
マタニティヨガ:
呼吸法とストレッチを組み合わせることで、体の緊張をほぐし、心の安定にも繋がります。
ウォーキング:
無理のない範囲でのウォーキングは、血行を促進し、ストレス解消にも繋がります。
ストレッチ:
肩や首のこりを和らげる簡単なストレッチを日常に取り入れましょう。
5-4. ストレス軽減
妊娠中は精神的なストレスも感じやすくなります。
ストレスは頭痛を悪化させる要因の一つです。
趣味の時間:
好きな音楽を聴く、本を読む、アロマを焚くなど、リラックスできる時間を作りましょう。
パートナーや家族とのコミュニケーション:
悩みや不安を抱え込まず、信頼できる人に相談することも大切です。
マタニティブルー対策:
妊娠中の精神的な不安定さは誰にでも起こり得ます。一人で抱え込まず、必要であれば専門機関に相談することも検討しましょう。
5-5. 姿勢の改善
長時間同じ姿勢でスマートフォンを操作したり、デスクワークをしたりすることは、首や肩に負担をかけ、緊張型頭痛の原因となります。
正しい姿勢を意識:
座る時も立つ時も、背筋を伸ばし、肩の力を抜いて正しい姿勢を意識しましょう。
定期的な休憩:
1時間に一度は立ち上がって体を動かすなど、定期的に休憩を取りましょう。
6.どうしても頭痛がひどい場合、専門家に相談を
セルフケアを試しても頭痛がひどい状態が続く、または悪化するようであれば、我慢せずに専門家に相談することが重要です。
6-1.医療機関の受診
かかりつけの産婦人科医:
まずは、現在通院している産婦人科医に相談しましょう。頭痛の原因を特定し、適切な治療法を検討してくれます。
頭痛専門医:
産婦人科医の判断で、頭痛専門医や神経内科医を紹介されることもあります。
緊急性の高い頭痛のサイン:
突然の激しい頭痛
これまでに経験したことのない種類の頭痛
発熱、視覚異常、手足のしびれ、めまいなどの他の症状を伴う頭痛
意識障害を伴う頭痛 これらの症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
6-2.マタニティ対応の整体院やマッサージ

「頭痛薬はなるべく避けたい」と考える方もいるでしょう。
その場合は、マタニティ専門、またはマタニティ対応を謳っている整体院やマッサージ店を検討するのも一つの方法です。
骨盤の歪み:
妊娠中期になると、体の重心が変化し、反り腰になるなど骨盤の歪みが生じやすくなります。この骨盤の歪みが、巡り巡って頭痛の原因となることも考えられます。
全身のバランス調整:
経験豊富な施術者は、妊娠中の体の変化を考慮し、全身のバランスを整えることで、頭痛の緩和を目指します。
注意点:
必ず事前に妊娠中であることを伝え、施術が可能か、またどのような施術内容になるのかを確認しましょう。信頼できる施設を選ぶことが大切です。
当院のマタニティ整体はこのような流れです。サロン選びの参考にしてみてください。
7.まとめ:妊娠中期 頭痛がひどい時は無理せず対処を
妊娠中期に「頭痛がひどい」と感じることは、多くの妊婦さんが経験する症状です。
ホルモンバランスの変化、血液量の増加、むくみ、低血糖など、様々な要因が考えられます。
片頭痛か緊張型頭痛かによって対処法は異なりますが、共通して言えるのは「無理をしないこと」です。
十分な休息、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス軽減を心がけ、症状が改善しない場合は迷わず医療機関や専門家に相談しましょう。
大切なマタニティライフを健やかに、そして快適に過ごすために、ご自身の体の声に耳を傾け、適切なケアを心がけてください。
この記事を書いた人
山下 こうすけ

わくわくボディクリニック代表 | 美容・健康業界の第一人者
2003年、セラピストとしてキャリアをスタートし、2010年に「わくわくボディクリニック」を創業。
独自に開発した20年以上の研究に基づく施術メソッドが高く評価され、現在では年間15,000人以上が来店する人気サロングループへと成長を遂げる。
また、その高い専門性と技術力が評価され、ミス・ジャパンの審査員も担当。
美容・健康に関するセミナー講師として、多くの女性の美と健康をサポートし続けている。
現在も施術の最前線に立ちつつ、最新の美容・健康トレンドを取り入れながら、多くの女性の「美」と「健康」をサポートし続けている。