産後の食事で後悔しない!ママの体と赤ちゃんのために本当に大切なこと
出産を終えたばかりのママさん、本当にお疲れ様です。
新しい命との出会いは喜びに満ちていますが、同時に、慣れない育児や睡眠不足、そして出産で大きなダメージを受けた体への負担は想像以上のものではないでしょうか。
「産後の体は交通事故にあったようなもの」と例えられるように、心身ともに回復には時間が必要です。
そんな産後の回復期において、食事はママの体を回復させ、母乳育児をサポートし、赤ちゃんの健やかな成長を促すために非常に重要な役割を担っています。
「産後の食事、何を気を付ければいいの?」と疑問に感じている方も多いでしょう。
この記事では、産後のママが健康的で充実した毎日を送るために知っておくべき食事のポイントを、科学的なデータも交えながら詳しく解説します。
何を食べるべきか、何を控えるべきか、そして忙しい日々の中でも実践しやすい食事のヒントまで、あなたの疑問を解消し、安心して産後を過ごせるようサポートします。
1.産後の食事で知っておきたい3つの大切なポイント

産後の体は、妊娠中から出産にかけて蓄積された疲労と、授乳によるエネルギー消費で非常にデリケートな状態です。
この時期の食事は、単に空腹を満たすだけでなく、体の回復、母乳の質、そして精神的な安定にも大きく影響します。
特に意識したい3つのポイントを見ていきましょう。
1-1. 脂質は控えめに!乳腺炎リスクを減らす「産後の食事」

「産後の食事はとにかく栄養を!」と思いがちですが、特に注意したいのが脂質の摂取量です。
脂質の多い食事は、乳腺炎や高脂血症のリスクを高める可能性があります。
乳腺炎は、母乳が乳腺に詰まり炎症を起こす病気で、発熱や乳房の痛みなどを引き起こし、ひどい場合は切開が必要になることもあります。
日本助産師会によると、乳腺炎の原因の一つに「高脂肪食の摂取」が挙げられています。
特に、バターや生クリームを多用した洋菓子、揚げ物、肉の脂身などは、乳腺の詰まりを引き起こしやすいため、注意が必要です。
また、インスタント食品やファストフードは、忙しいママにとって手軽に食事ができる便利な選択肢ですが、これらも脂質が多く、必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが不足しがちです。
脂質を控えるための工夫
肉類は脂身の少ない部位を選ぶ: 鶏むね肉やささみ、豚ヒレ肉など、脂質の少ない部位を選びましょう。
調理法を工夫する: 揚げるよりも、茹でる、蒸す、焼く、煮るなどの調理法を選びましょう。例えば、鶏肉を唐揚げにするのではなく、蒸し鶏にする、煮物にするなどで脂質を抑えられます。
加工食品の摂取を控える: 市販の惣菜やパン、菓子類なども意外と脂質が多い場合があります。栄養成分表示をチェックする習慣をつけましょう。
「食べるオイル」にも注意:
アボカドやナッツ類は健康に良いとされますが、脂質が多いため摂取量には注意が必要です。
1-2. 積極的に摂りたい「タンパク質」が産後の回復を加速させる
タンパク質は、筋肉や臓器、皮膚、髪の毛、血液など、体のあらゆる組織を作る基本的な栄養素です。
産後の体は、出産による組織の損傷を修復し、母乳を生成するために、大量のタンパク質を必要としています。
「タンパク質は筋トレをする人が摂るもの」というイメージがあるかもしれませんが、それは大きな誤解です。
産後のママにとってタンパク質は、体の回復だけでなく、以下のような役割も担っています。
貧血の予防と改善: 鉄分と結びついてヘモグロビンを生成し、貧血予防に貢献します。
免疫力の向上: 免疫細胞や抗体の主成分となり、病気から体を守ります。
精神の安定: セロトニンなどの神経伝達物質の材料となり、気分の落ち込みやイライラを抑える効果が期待できます。
むくみの改善: 体内の水分バランスを調整し、産後のむくみを軽減します。
母乳の生成: 母乳の主成分であり、良質な母乳を作るために不可欠です。
タンパク質を効率よく摂取する食品

肉類: 鶏むね肉、ささみ、牛もも肉、豚ヒレ肉など(脂質の少ない部位を選ぶ)。
魚介類: サバ、アジ、イワシなどの青魚(DHAやEPAも豊富)、マグロ、カツオ、エビ、イカなど。手軽に摂れるサバ缶は、1缶で20~25gのタンパク質が摂れる優れものです。
卵: 完全栄養食品とも言われ、良質なタンパク質を含みます。
大豆製品: 豆腐、納豆、味噌、豆乳など。植物性タンパク質は消化吸収も良いとされています。
乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズなど。カルシウムも同時に摂れます。
1-3. 鉄分も忘れずに!「産後の貧血」対策は食事から

妊娠中から貧血気味だった方や、出産時に多量の出血があった方は、産後も貧血に注意が必要です。
出産や授乳によって、体内の鉄分はさらに消費されます。
貧血は、酸素を運ぶヘモグロビンの量が不足することで起こり、めまい、立ちくらみ、疲労感、息切れ、顔色不良、爪の異常、さらには氷を無性に食べたくなるといった症状が現れることがあります。
重度の貧血は、産後うつ病のリスクを高める可能性も指摘されています。
貧血は、赤血球の生成だけでなく、エネルギー代謝や免疫機能にも関わる重要なミネラルです。
鉄分を豊富に含む食品
動物性食品(ヘム鉄): レバー(豚、鶏)、赤身肉(牛肉、豚肉)、カツオ、マグロ、アサリ、しじみなど。ヘム鉄は、植物性食品に含まれる非ヘム鉄よりも吸収率が高いのが特徴です。

植物性食品(非ヘム鉄):
ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品、海藻類など。非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率がアップします。例えば、ほうれん草のおひたしにレモンを絞る、食後にミカンを食べるなどの工夫がおすすめです。
2.産後の食事に関するデータで見る重要性

産後のママの健康と赤ちゃんの成長において、食事がどれほど重要であるかを具体的なデータで見ていきましょう。
2-1. 授乳期に必要な栄養素

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、授乳中の女性は非妊娠時と比較して、以下の追加エネルギーと栄養素の摂取が推奨されています。
エネルギー: 1日あたり**+350kcal**
タンパク質: 1日あたり**+15g**(これは、卵約2個分、または鶏むね肉約60gに相当します。)
カルシウム: 1日あたり**+50mg**
鉄: 1日あたり**+2.5mg**
ビタミンA: 1日あたり**+450μgRAE**
ビタミンB1: 1日あたり**+0.2mg**
ビタミンB2: 1日あたり**+0.2mg**
ビタミンC: 1日あたり**+30mg**
これらのデータからも、産後の体、特に母乳育児中の体は、通常よりも多くの栄養を必要としていることがわかります。
2-2. 産後の貧血の現状
ある研究では、産後の女性の約20~30%が貧血であると報告されており、特に母乳育児をしている女性は鉄分不足になりやすい傾向があります。
出産時の出血量が多いほど、産後の貧血のリスクは高まります。
また、貧血は産後うつ病のリスクを高める可能性も指摘されています。
2-3. 日本人女性の脂質摂取状況
国民健康・栄養調査(2019年)によると、日本の成人女性の脂質摂取量は、多くの年代で目標量(総エネルギー摂取量の20~30%)の上限に近い、または上回る傾向にあります。
特に、20代~40代の女性において、脂質からのエネルギー摂取割合が高い傾向が見られます。
産後のママは、この傾向も踏まえて、意識的に脂質の摂取量を管理することが重要です。
3.忙しい「産後」を乗り切る!おすすめの食事メニューと調理のヒント
産後は、赤ちゃんのお世話で自分の食事に時間をかけるのが難しいものです。
しかし、栄養バランスの取れた食事は、ママの健康と赤ちゃんの成長に不可欠。
ここでは、手軽に作れて栄養満点な産後の食事におすすめのメニューと調理のヒントをご紹介します。
3-1.産後ママのための簡単栄養満点メニュー
栄養バランスを考えながらも、手間をかけずに作れるメニューをいくつかストックしておくと、いざという時に役立ちます。
1. 黒米入りご飯で手軽に鉄分補給
白米に大さじ1杯程度の黒米を混ぜて炊くだけで、ご飯の栄養価がアップします。
黒米は古代米の一種で、鉄分や食物繊維、アントシアニン(ポリフェノールの一種)が豊富に含まれています。
まとめて炊いて小分けにして冷凍しておけば、忙しい時でもすぐに食べられて便利です。
2. サバ缶活用!手軽で栄養満点「サバサンド」

水煮のサバ缶を使ったサバサンドは、タンパク質とDHA・EPAが手軽に摂れる優秀メニューです。
パンにサニーレタス、玉ねぎ、キャベツなどお好みの野菜と一緒に挟むだけ。
マヨネーズは控えめにし、レモン汁や少量の醤油で味付けすると、さっぱりといただけます。
3. 鉄分・カルシウムたっぷり「ほうれん草とじゃこの和え物」
ほうれん草は鉄分、じゃこはカルシウムが豊富で、産後のママにぴったりの組み合わせです。
ほうれん草を茹でて5cm程度に切り、じゃこと和えるだけ。味付けは、醤油や出汁を使いすぎず、ごま油や少量のごまを加えると風味豊かになります。
3-2.食事準備の負担を減らすためのヒント

完璧を目指す必要はありません。
時には便利なサービスやアイテムに頼ることも大切です。
作り置きを活用: 時間のある時にまとめて調理し、小分けにして冷凍保存しておくと、いざという時に役立ちます。ひじきの煮物、きんぴらごぼう、鶏むね肉の蒸し煮などは作り置きにおすすめです。
カット野菜や冷凍野菜を活用: 洗って切る手間が省けるので、調理時間を大幅に短縮できます。
缶詰やレトルト食品を常備: 栄養バランスの取れたものを選び、いざという時の非常食として活用しましょう。
汁物を活用:
味噌汁やスープは、一度にたくさんの具材を入れやすく、栄養バランスを整えやすいメニューです。多めに作っておけば、何回かに分けて食べられます。
家族の協力を得る: パートナーや家族に食事の準備を手伝ってもらう、または作ってもらうのも良いでしょう。
4.産後の強い味方!食事宅配サービスを賢く利用する
「食事を作る時間がない」
「毎日献立を考えるのが大変」
「栄養バランスが気になるけど、どうしたらいいかわからない」
…そんな悩みを抱える産後ママにとって、食事宅配サービスは心強い味方になります。
産後1ヶ月は特に安静が必要な時期であり、その後も赤ちゃんのお世話や家事に追われ、自分の食事の準備まで手が回らないことは少なくありません。
職場復帰を控えている方は、さらに時間が限られるでしょう。
4-1.食事宅配サービスのメリット
栄養バランスの取れた食事が手軽に摂れる: 管理栄養士が監修したメニューが多く、産後に必要な栄養素が考慮されています。
調理の手間が省ける: 温めるだけ、または簡単な調理で食事が完成するため、時間と労力を節約できます。
買い物の負担が減る: 重い食材を運ぶ手間や、献立を考えるストレスから解放されます。
食事のバリエーションが増える: 自分では作らないようなメニューや食材を試せる機会にもなります。
4-2.宅配サービスの種類
食事宅配サービスには、大きく分けて以下の2種類があります。
調理済みのお弁当タイプ: レンジで温めるだけで食べられるお弁当形式。忙しい時や体調が優れない時に特に便利です。
ミールキットタイプ: 下処理済みの食材と調味料がセットになっており、簡単な調理で完成するタイプ。手作りの温かさを残しつつ、手間を省きたい方におすすめです。
自分のライフスタイルや体調に合わせて、最適なサービスを選びましょう。
試食キャンペーンなどを利用してみるのも良いでしょう。
5.焦らないで!産後の「食事制限」と「ダイエット」は慎重に

SNSなどを見ると、「産後〇ヶ月で体型が元通りに!」「出産前よりスリムになった!」といった情報が目に飛び込んでくるかもしれません。
キラキラした情報に触れると、「私も早くダイエットしなきゃ」と焦りを感じることもあるでしょう。
しかし、産後の体はデリケートであり、過度な食事制限や無理なダイエットは厳禁です。
産後の回復を妨げたり、母乳の出が悪くなったり、体調を崩したりする原因になります。
5-1.産後ダイエットの注意点
体調が安定してから: 産後すぐは、体の回復を最優先にしましょう。本格的なダイエットは、産後6ヶ月以降を目安に、医師や助産師と相談しながら始めるのが理想的です。
母乳育児中は特に注意:
母乳育児をしている間は、1日に約500kcal程度多くのエネルギーを必要とします。極端なカロリー制限は、母乳の量や質に影響を与える可能性があります。
「減らす」よりも「質を高める」: 闇雲に食事の量を減らすのではなく、「不要なものを食べない」「和食中心の定食スタイルにする」といった意識で、食事の質を高めることを心がけましょう。ジャンクフードや甘いもの、スナック菓子などを控えるだけでも大きな変化があります。
バランスの取れた食事:
炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂ることが大切です。特定の栄養素だけを極端に制限するダイエットは避けましょう。
適度な運動を取り入れる: 食事だけでなく、医師や助産師の許可を得て、無理のない範囲でウォーキングや骨盤底筋体操などの運動を取り入れると、効率的に回復を促せます。
5-2.産後の食事は「心の栄養」も大切

産後の食事は、体の栄養だけでなく、心の栄養でもあります。ストレスを感じながら無理に食事制限をするよりも、「まんべんなく色々な食材を楽しく食べよう」という気持ちで過ごすことが大切です。
「これを食べたら太るかも」と心配しすぎず、心から美味しいと感じるものを、適量をいただくようにしましょう。
食事の時間が、ママにとって安らぎの時間となるよう、無理なく、楽しく、栄養満点の産後の食事を心がけてください。
6.まとめ
産後の食事は、ママの体の回復、母乳の生成、そして精神的な安定に大きく影響する重要な要素です。
脂質は控えめにし、乳腺炎のリスクを減らしましょう。
タンパク質を積極的に摂取し、体の回復と母乳の質を高めましょう。
鉄分も忘れずに摂り、貧血対策をしっかり行いましょう。
忙しい時は、作り置きや食事宅配サービスを賢く活用しましょう。
無理なダイエットは避け、バランスの取れた食事で心身ともに健康を保ちましょう。
産後の体は、ゆっくりと時間をかけて回復していくものです。
完璧を目指さず、できる範囲で栄養バランスの取れた食事を心がけ、ママ自身の体を大切にしてくださいね。
この記事を書いた人
山下 こうすけ

わくわくボディクリニック代表 | 美容・健康業界の第一人者
2003年、セラピストとしてキャリアをスタートし、2010年に「わくわくボディクリニック」を創業。
独自に開発した20年以上の研究に基づく施術メソッドが高く評価され、現在では年間15,000人以上が来店する人気サロングループへと成長を遂げる。
また、その高い専門性と技術力が評価され、ミス・ジャパンの審査員も担当。
美容・健康に関するセミナー講師として、多くの女性の美と健康をサポートし続けている。
現在も施術の最前線に立ちつつ、最新の美容・健康トレンドを取り入れながら、多くの女性の「美」と「健康」をサポートし続けている。
